【文字起こし】化学史#02: ギリシアの哲学者が考える「世界は何で出来ているのか?」
著者: 小佐田
説明
万物のアルケーは○○である! 倫理の教科書でそんな言葉を見たことがある人が多いと思いますが、どうしてそう考えたのかというところについては曖昧だと思います。私もそうでした。タレスやヘラクレイトス、プラトンにアリストテレスに至るまで、彼らがどのように「世界が何でできているか」について考えていたのか。それに迫っていきましょう。(小佐田)
文字起こし
位置 | 内容 |
---|---|
0.0 | おさらさん |
1.0 | はい |
2.0 | ソフィーの世界っていう本があるんですけど |
5.0 | ご存知ですか? |
6.0 | ソフィーの世界? |
7.0 | いやーごめんなさいわかんないですね |
9.0 | これちょっと前の本で1991年の出版の書籍なんですね |
14.0 | この本世界中でめちゃくちゃ売れていて |
17.0 | 大体世界で2300万部 |
20.0 | 日本の包約版も200万部が売れたっていう大ベストセラーなんですよ |
25.0 | めちゃくちゃ売れてんじゃないですか |
27.0 | 結構このこれ |
29.0 | ジャンルとしては物語になるんですけど |
33.0 | 扱ってるテーマが結構重厚でして |
36.0 | ざっくりあらすじを話すと |
39.0 | 主人公である14歳の少女ソフィーっていう少女に |
44.0 | ある日謎の哲学者から不思議な手紙が届くっていう手を取ってる物語なんですね |
49.0 | 不思議な手紙 |
51.0 | 手紙の内容っていうのが |
54.0 | 非常にざっくりと哲学講座でして |
58.0 | 神話の時代から始まって最終的に |
61.0 | ダーヴィンとかフロイトに至るまで |
63.0 | 西洋哲学の歴史っていうものをずっと追いかけていくっていう |
68.0 | 結構チャレンジングな |
71.0 | それでいてかなり平位出す言葉で |
74.0 | その哲学を説明してくれてるっていう面白い物語なんですよ |
78.0 | 14歳の少女に分かるぐらい簡単に説明してるってことですかね |
82.0 | そうですね |
84.0 | でここの本はさすが売れただけあるなっていう内容ではあるんですけど |
88.0 | それこそ今回もまた少し扱っていくんですが |
92.0 | ソクラテスだったりプラトンだったりアリストテレスだったりっていう所から始まって |
97.0 | 後ろの方はですね |
99.0 | ロマンシュリー、ヘイデル、キルケゴール、マルクス、ダーヴィン、フロイト |
105.0 | そして現代みたいな流れになってまして |
108.0 | めっちゃすごいじゃないですか、網羅してる |
110.0 | そうなんですよね、哲学の入門書、あるいは入り口の教科書としてもいても |
114.0 | かなりいい書籍になってるんですよね |
119.0 | なんでこの本の話をしたかっていうと |
122.0 | 今回からバテガク史、科学史っていうものを扱っていく中で |
126.0 | 哲学と哲学の歴史っていうもの |
129.0 | いわゆる哲学史っていうものとの関連性がさてて通れないんですね |
134.0 | ですので今回このバテガク史 |
137.0 | バテガク史っていうものに対して具体的な話に入っていくにあたって |
141.0 | まず最初にこのソフィの世界の中で |
145.0 | 最初にソフィに届いた手が2つの手紙 |
148.0 | その手紙を引用するところからこの科学史っていうシリーズを始めたいと思っています |
153.0 | というわけで |
155.0 | このソフィの世界から2篇の手紙をまず最初に引用させてください |
161.0 | この物語は2篇の非常に短い問いかけから物語が始まります |
167.0 | あなたは誰?世界はどこから来た? |
172.0 | というわけでこれからバテガク史っていう世界について |
175.0 | 少しずつお話していければなというふうに思います |
178.0 | よろしくお願いします |
185.0 | 改めまして活躍中毒者計画の竹澤です |
188.0 | 同じく大沢です |
190.0 | というわけで前回、収録的には前々回ですかね |
194.0 | バテガク史についてそもそもバテガクって何図やっていう話を少しさせていただいたんですが |
199.0 | 今回から具体的なバケガクっていう学問の歴史について |
203.0 | 一つずつ順を追っていこうかなというふうに思っています |
209.0 | バケガクの歴史 |
211.0 | 前回もラストの方で少し哲学の歴史 |
214.0 | 哲学の素であるタレスの影響っていうような話をさせてもらいましたけど |
218.0 | バケガクの歴史と哲学の歴史 |
220.0 | その2つっていうのは全く同じ源流からその話が始まっています |
225.0 | すなわち、最古の哲学者 |
228.0 | タレスによってバケガクの歴史っていうものが幕を当てていくことになるんですね |
234.0 | タレス |
235.0 | ミレトスのタレスなんていうふうに呼ばれたりもすることもあるんですが |
240.0 | 彼はソクラテス以前の最古の哲学者なんていうふうに呼ばれたりすることもあります |
246.0 | そうなんですね |
248.0 | 活躍していた時期は紀元前の624年頃から546年頃というふうにされているんですが |
255.0 | 残念ながらこのタレスが具体的にどんな人物で |
259.0 | どんな生活をしていたのかっていうことに対する確かな記述っていうものはほとんどが残っていません |
266.0 | というのもこのタレス著作っていうものが一切残っていないんですね |
272.0 | ですのでタレスより以後の時代の人たちが |
276.0 | 昔タレスがこういったっていうような形で |
279.0 | 引用している形でしか |
280.0 | 今日我々は彼の思想っていうものを伺い知ることはできません |
285.0 | 後日で引用されてたのがどんどん引き継がれていったっていう感じなんですか? |
289.0 | そうですね |
291.0 | 実際にはタレスの著作っていうものが |
293.0 | 古代には存在していたのかもしれないですが |
296.0 | 残念ながら今日そのパピルスっていうものは伝わっていないっていうのが実情みたいですね |
301.0 | ですので史上の人物とみなすかっていうものは結構微妙なところもありまして |
308.0 | 半分伝説上の人物、神話上の人物っていうのに片足を突っ込んでるような人だと思ってもらえれば近いのかなと思います |
317.0 | このタレスの主張、最も有名なものの一つが |
321.0 | 万物の根源は水であるというものです |
325.0 | 高校の教科書なんかだと万物の根源、万物のある形っていうような言い方をしてたりもしますが |
331.0 | とにかくタレスは世界は何で構成されているかという問い方に対し |
337.0 | それは水であるっていう答えを用意したんですね |
342.0 | このタレスの万物の根源は水であるという思想 |
346.0 | フレーズとしてもとても短くて分かりやすい部分もあると思うんですが |
351.0 | 素朴な感覚に立ち返ってみた時にかなりいい線を言っているといいますか |
357.0 | かなり正確なところを言ってるなというふうに今日から振り返ってみても思えるのかなと思います |
365.0 | まず私たちの住んでいるこの地球という星、水は大量にありますよね |
370.0 | そうですね |
371.0 | 水の惑星なんていう言い方をしたりもしますが |
375.0 | 例えば海なんかを目の前にした時に水って無限にあるんじゃないかっていうような |
380.0 | 素朴な感覚っていうのはまず芽生えるのかなと思います |
384.0 | そういった無限と間違うほど身の周りに溢れており |
388.0 | かつ温度によって個体にも機体にも姿形を変える |
393.0 | これを万物の層であるというふうにタレスが断じたっていうのは |
397.0 | あるし結構今日から見ても納得性のある話なのかなと思いました |
402.0 | このタレスの主張する万物の層 |
406.0 | 万物の層、万物の根源は水っていう主張 |
410.0 | ここで私たちが特に注目しておきたいのは |
414.0 | 万物の根源が何かではなく |
417.0 | 万物に根源があるという主張そのものです |
420.0 | つまり万物っていうものが |
423.0 | 何か一つのものを出発点として構成されているんだっていう思想 |
428.0 | この思想自体が結構この高生の絶画者たちにも受け継がれていくことになるんですね |
435.0 | ただ万物の根源が何であるかっていう点については |
439.0 | いろんな人たちの反論もしくは批判っていうものが |
442.0 | この後加えられていくことになります |
446.0 | 具体的にはタレスの弟子であるアナクシマンドロスという人物は |
451.0 | その根源を無限定なるものあるいは無限なるものというふうに |
456.0 | ある種抽象化のようなものを行いました |
459.0 | タレスはその水が無限っぽいところからそれが根源だと思ったけど |
463.0 | さらに抽象化してその無限全体っていうものを |
467.0 | この根源として扱うよってことですか? |
470.0 | そうですね、もう少し平易に考えると |
475.0 | 何かその具体的に水っていうものなんじゃなくて |
479.0 | 無限にある何かというか |
481.0 | 無限定な何かっていうものが根源にあるんだっていうふうな |
485.0 | 主張をアナクシマンドロスは行ってるんですね |
490.0 | この単一なるものは何かっていう主張 |
494.0 | その後の時代にもいろんな説が出てきてまして |
497.0 | 少し後の時代、アナクシメネスっていう人物は |
501.0 | その根源を空気であるというふうにしていますし |
505.0 | さらに後の時代のクセノファネスという人物は土 |
509.0 | またヘラクレイトスは火であるというふうに主張しています |
515.0 | この人物の中でおそらく最も有名なのはヘラクレイトスになるかなと思うんですが |
520.0 | ヘラクレイトスの主張、おそらく最も有名なものが |
524.0 | 万物は露天するっていう主張になるかなと思います |
529.0 | このヘラクレイトスの万物は露天するという主張に立った時に |
534.0 | 万物の根源を水でも空気でも土でもなく火であるというふうに設定したのは |
540.0 | マルシュ主張の一貫性といいますか |
542.0 | 説得力はある程度あるなというふうに思いました |
547.0 | またこのヘラクレイトスの設定した火 |
549.0 | つまりエネルギーこそが万物の根源であるという主張 |
554.0 | これはものすごく先の時代で質量はエネルギーに変換できるということが証明されることで |
561.0 | マルシュかなり遠回り的ではあるんですが |
566.0 | 半分ぐらいは正しいということが証明されてもいます |
570.0 | ってことは結局質量がエネルギーに変換されて |
575.0 | エネルギーが質量に変換されるっていう |
579.0 | 変換過程で火が出てるわけじゃないですか |
582.0 | そうですね |
583.0 | 火っていうものを単純な三角関係反応の減少の火っていうよりは |
589.0 | もう少し抽象的なエネルギーとして捉えた時に |
592.0 | このEコレMC事情っていうわれわれが今に知ってる知識を前提に立つと |
597.0 | ヘラクレイトスの主張っていうものはある種成立しちゃってる側面があるんですね |
602.0 | 火って燃える火かなと思ってたんですけど |
605.0 | もうちょっと拡大解釈してエネルギーっていうふうに考えれば |
609.0 | そうかすごいですね |
611.0 | もちろんこのヘラクレイトスはこの現時点でそんな指揮を知る余しもないですし |
615.0 | そこを想定していたわけではないんですが |
617.0 | ある種今日振り返ってみた時に説明がついてしまうっていうものは歴史の妙だなっていうふうに思ったりもしますね |
626.0 | この単一の物質が根源であるという説に対して |
633.0 | 様々な空気だったり水だったり土だったり火だったりという説が唱えられる中で |
639.0 | それらをある種統括した打狂案っていうものを作ったのがエンペドクレスでした |
646.0 | エンペドクレスは水空気土火の4つを4元素として |
652.0 | 万物はこの4元素で構成されているんだというような主張を行っています |
657.0 | このエンペドクレスの4元素説 |
660.0 | 今日の私たちの感覚から見ますとなかなかまた面白い側面を含んでいまして |
665.0 | エンペドクレスは万物がこの4元素で構成されているっていうところからさらに組み込んで |
671.0 | これら4つの元素は愛と憎しみによって結合したり分解したりするんだっていう主張を行っているんですね |
679.0 | 彼の主張この愛とか憎しみ愛憎っていうものによっての結合や分離っていうものが |
686.0 | 直接的に感情を表しているのかもしくは何らかの比喩的なものだったのかっていうのは |
691.0 | 今日では伺いすることしかできないんですが |
695.0 | この元素だったりあるいは物質に対して自人化的な見方をするという概念自体は |
702.0 | この後の時代うるねっさんすきもしくは |
705.0 | 今日に至るまでずっとバテ学っていうものの根底で引き継がれていく一つの概念になっていきます |
713.0 | この辺はちょっとまたこのシリーズを通じて一つ主題としてお話ししていければなというふうにも思っているんですが |
720.0 | 割と今日でもいわゆるバテ学を成り沸いている人たちにおいて |
725.0 | この物質の自人化っていうのは共通概念としてまだ持たれている側面があるんですね |
731.0 | これらのこの元素たちが愛と憎しみを持って |
737.0 | こうくっついたり離れたりしてるっていうふうにこの時代は考えたというかエンペトクレスは考えた |
743.0 | そうですね |
744.0 | なるほど |
746.0 | その愛と憎しみっていうフレーズだけ聞くとなんというかこう |
750.0 | キリシアの古典史的だなっていう気もしてくるんですけど |
754.0 | ちょっとこの辺の話またいつか詳しくはやりたいんですが |
758.0 | 私自身バテ学科卒業してるんですがバテ学科の授業の中では結構 |
764.0 | 元子が元子に恋をするとか |
766.0 | 元子と元子の略奪愛みたいな例えがよく出てくるんですね |
770.0 | あーなるほどね |
772.0 | なんか面白いねそれ |
774.0 | 実はこの元素あるいは物質の擬人化物質の結婚離婚みたいな概念で |
781.0 | ルネスサンスキの錬金術とかにもかなり色濃く現れていて |
785.0 | じゃあどっちかっていうとその時代にそういうふうに表現されたことが |
790.0 | 今でも残ってるっていうイメージですかね |
793.0 | それがその歴史的経緯によって確立されたのか |
797.0 | それとも元々我々に何かこの共通な関連的に備っていたものなのかっていうのは |
803.0 | もう少し議論の余地があるのかなと思ってるんですけど |
807.0 | この元子あるいは元素に擬人化あるいは人格的なものを見出すっていう性質 |
813.0 | それは結構面白いテーマなんじゃないかなと個人的には思ってます |
818.0 | そうですね |
821.0 | さて大部主題から話がズレてしまったんですが |
824.0 | この四元素説 |
826.0 | この四元素説を続いて受け継いだのはソクラデスの弟子であるプラトンでした |
832.0 | ただしこのプラトンの主張する四元素説っていうものは |
836.0 | 今までの火だったり土だったり水だったりっていうところからば |
841.0 | またもう一つ少し飛躍したような内容を扱っています |
846.0 | プラトンは4つの元素が4つの聖多面体に対応するという主張を行ったんですね |
853.0 | 聖多面体 |
855.0 | また非常に相骨しい話になるんですが |
858.0 | プラトンは土が聖六面体 |
861.0 | 水が聖二十面体 |
863.0 | 空気が聖八面体 |
865.0 | そして火が聖四面体で表せるっていう主張を行っています |
871.0 | どういう風に表せるの? |
874.0 | この辺は非常にプラトンらしいなという気もしてくるんですが |
880.0 | この元素っていうものが多面体に対応していて |
884.0 | ゆえに相互変換が可能であったり |
887.0 | 混ざり合ったりすることができるんだっていう主張をプラトンはしてるんですね |
892.0 | 多面体だからこそ |
894.0 | なんか共有する面があったり |
897.0 | 似たような形を持っている部分があるからこそ |
900.0 | その部分を通じて合体したりまた分離したりっていうこと? |
905.0 | そうですね |
906.0 | この先ほど挙げた4つの聖多面体 |
910.0 | 特に水空気火を形成している聖二十面体 |
914.0 | 聖八面体聖四面体っていうのは |
917.0 | 一面がすべて三角形で構成されてるんですね |
921.0 | なるほどね |
923.0 | なのでこれら3つの元素は |
925.0 | 互いに混じり合ったり変換し合ったりしやすいんだってプラトンは視聴するんですよ |
931.0 | なるほどなるほど |
933.0 | 実際に例えば |
935.0 | 例えば原子がそういう形をしてるとかではなくて |
938.0 | 関係性を表した時に |
940.0 | 聖六面体だったり聖二十面体だったりっていう形で書けるよってこと? |
946.0 | そういうのに近いんですかね |
949.0 | またプラトンこっからさらに発展させて |
952.0 | 聖六面体つまり土を構成している聖六面体っていうのは四角形 |
957.0 | 要はサイコロの形ですので四角形で構成されているんですね |
962.0 | なので他の元素と混じり合わず不活性で動きにくいんだっていうことも言ってるんですよ |
968.0 | へー面白 |
971.0 | この辺はプラトンっていう人物がピタゴラス楽派から影響を受けていたっていう側面も無視はできないかなと思うんですが |
979.0 | ある種イデアっていう世界を無双したプラトンの主張らしいなと思います |
986.0 | ただこの聖太面体による元素説、このプラトンの主張っていうのはプラトン自身もある種怪奇的な立場っていうのをとっていたようです |
996.0 | この辺も非常にプラトンらしいなと思うんですが |
1000.0 | プラトンの主張で最も過去を形成しているイデア |
1004.0 | ちょっと今回そんなに踏み込まないんですが |
1007.0 | つまりプラトンは現実世界っていうものはイデアの世界の過でに過ぎないんだっていうような主張を行ったんですね |
1015.0 | その立場に立った時に |
1017.0 | 元素っていう現実世界の現象を厳密に正しい議論をするのは無理だっていうふうにプラトンは主張するんですよ |
1028.0 | 非常にプラトンらしいなっていうふうに個人的には思ったんですが |
1033.0 | この辺の主張、この多面体によってもしくは数学的な原理によって元素を議論するっていう主張自体も |
1042.0 | 実は今日では素流思論あたりで真面目に議論されている分野だったりもします |
1048.0 | この辺はかなり難しいし私の専門からも外れるのであまり議論はしないんですが |
1053.0 | まだ興味ある方は調べてみていただければなと思います |
1058.0 | さて、うちの話を戻すんですが |
1061.0 | プラトンの弟子であったアリヒソテレスも四元詐説っていうものを継承しました |
1067.0 | ただしそれはプラトンの元とはある種対立的な印象を受けるようなものになっていきました |
1075.0 | 改めてアリヒソテレスがどのような人物だったのかっていうのをこの場で語り尽くすことは正直無理なんですが |
1082.0 | 西洋の地の源流において彼の影響から逃れるっていうことはほとんど不可能と言ってもいいぐらい多大な影響を残した人物です |
1092.0 | アリヒソテレスは紀元前384年頃マテドニアで生まれ、アテネにおいてプラトンの元で学びました |
1100.0 | その後、かのアレクサントロス大王の家庭教師を勤めた後 |
1104.0 | アテネに戻り、リュケイオンと呼ばれる学園を開き多くの人を教えています |
1110.0 | 今日アリヒソテレスの著作として残っているものはほとんどがこのリュケイオンにおける講義ノートだというふうに言われています |
1119.0 | 彼がこのリュケイオンで扱った学問というものは |
1122.0 | 天文学、動物学、夢、刑事上学、論理学、倫理学、政治学、そして美学まで |
1131.0 | おおよそ、今日、ほにゃらら学と呼ばれるもののほとんどがアリヒソテレスによってその土台が築かれているんですね |
1141.0 | もちろん、今私たちが議論している化け学というものも |
1146.0 | このアリヒソテレスの影響というものを多大に見ていていまして |
1150.0 | アリヒソテレスの主張したこの四元祖説というものが |
1154.0 | 結果的に西洋世界におけるある種一つのベースを担っていくことになります |
1161.0 | アリヒソテレスの四元祖説 |
1164.0 | これは基本的にはエンペドクレスの四元祖説をベースにそこから改良を加えたような内容になっています |
1171.0 | プラトンの元と比べ、どちらかというと自然物、つまり現実世界を観察し |
1177.0 | そこからすりすりするというような手法で考えられているアリヒソテレスの四元祖説は |
1182.0 | それぞれの幻想というものが実際の物質を直接表しているとは考えず |
1190.0 | あくまでも我々の触れている水というものは幻想である水が最も色濃く現れた物質であるというような考え方をしました |
1201.0 | この部分については少し補足が必要なのかなと思うんですが |
1206.0 | 今までの人たち、つまりタレスの主張した万物は水であるというような思想というものは |
1213.0 | 本当にそのまますべての物体が自ら構成されているというような発想が根底にありました |
1220.0 | 一方でアリヒソテレスのこの主張というものは |
1224.0 | 我々の見ている水というものは水の元祖の性質が最も色濃く現れたもの |
1231.0 | つまり水の元祖の割合が高いものというものに過ぎず |
1235.0 | 元祖としての水そのものではないという主張をしたんですね |
1240.0 | この4元祖の構成によってそのものが規定されているというイメージですね |
1245.0 | そうですそうですそうです |
1247.0 | また元祖による構成という部分からアリヒソテレスをさらに踏み込んでいまして |
1253.0 | アリヒソテレスはこの4つの元祖を温と冷、つまり温かいと冷たい |
1259.0 | そして乾と湿、乾いていると湿っているという相対する2つの性質の組み合わせで分類できるというふうに言ったんですね |
1270.0 | すなわち火の元祖であれば温かくて乾いている、空気であれば温かくて湿っている |
1279.0 | そして土であれば冷たくて乾いており、水であれば冷たくて湿っているというふうな分類をしたんですね |
1288.0 | 火、空気、水、土で順番に4つになって今ひし形みたいな図ができました頭の中で |
1297.0 | そうですね、よく教科書とかに関われるのはひし形のような図でそれぞれに対して矢印を引っ張って |
1303.0 | 温かい、冷たい、湿っている、乾いているなんていうような矢印が引っ張ってあるものがあるかと思うんですが |
1310.0 | このアリヒソテレスの4つの性質による分類っていうところをとって |
1315.0 | どちらかというとこれ4元祖説ではなく4性質説なんじゃないかっていうような主張をする人もいたりするんですが |
1323.0 | この主張における1つのポイントは4つの元祖がそれぞれ総合変換可能であるっていうふうなことを言ってるんですね |
1334.0 | 現時点ではこの総合変換可能であるっていうものはあくまでその元祖の性質を示した概念にすぎなかったんですが |
1342.0 | 結果的に後々の歴史でこの元祖の総合変換っていう概念が錬金術っていうようなジャンルを作っていく一条語になっていくことになるんですよね |
1351.0 | 変換できるからこそ生み出せるかもしれないっていう |
1357.0 | そうです |
1359.0 | そういった意味でもアリヒソテレスが化学史に与えた影響っていうものはかなり無視できないところがあるんですね |
1366.0 | このアリヒソテレスの4元祖説他にも付随していくつかの主張がなされていまして |
1373.0 | その中でも特に西洋の化学史において影響を与えたのは各元祖がそれぞれ固有の性質を持っているっていうような主張でした |
1383.0 | これがかなり正直今日の我々からは理解し難い部分でもあるんですが |
1390.0 | 落下するっていう現象は土の本性であって上昇するっていうものは火の本性だっていう主張をしたんですね |
1399.0 | なるほどってことはこの土のこの霊と感と火であれば温と感だから温の属性を持っている物質は上昇しやすくて霊の属性を持っている物質は落下しやすいっていうそんなイメージ |
1422.0 | 性質という概念が後々いわゆる天道説地道説っていう議論が行われる中で非常に一つ大きな論点になっていくわけで |
1436.0 | つまり物体が落ちるっていう現象はその物体に落ちるという本性があるからだっていうのがアリヒソテレスの行った主張なんですね |
1448.0 | そこから脱するっていうところに我々人類はまた多大な労力を払っていくことになるんですが |
1456.0 | その話はまた天文学の歴史のジャンルになるのかなと思います |
1461.0 | またアリヒソテレスこの4元素の他にもう一つ第5元素っていうものを想定しています |
1471.0 | アリヒソテレスは世界っていうものを月より下の地上の世界と月より上の天井の世界っていうものの2つにまてて考えました |
1482.0 | 我々の生活している地上つまり月より下の世界っていうものはこのアリヒソテレスの4元素っていうものが通用するのですが |
1491.0 | 一方で月より上の世界っていうものはこれら4元素が存在せず |
1496.0 | エーテルと呼ばれる第5の元素がその空間を満たしているんだっていうふうにアリヒソテレスは主張したんですね |
1503.0 | この月の上と下で異なる法則が働くというこの思想 |
1508.0 | これも17世紀化学革命において非常に大きな論点の一つとなっていった部分です |
1515.0 | このあたりまたちょっと詳しい話をすると非常に話が長くなってしまうのではしょるんですが |
1521.0 | 結果的に我々人類がこの月の上と下っていうものを統一することができたのはニュートンの登場を待たねばなりませんでした |
1531.0 | そういった意味でこのアリヒソテレスの影響っていうものは化学史あるいはもっと広い範囲 |
1538.0 | 化学史において15世紀ルネッサンスに至るまで長い影響を及ぼしていくこととなったのです |
1545.0 | なんかいろいろな学問の核になってるっていうか元になってるっていう気はしますよね |
1553.0 | そうですね |
1555.0 | なんかこっから考えられてこれが改良されててっていうのがなんか分かるというか |
1563.0 | そうですねこの辺のアリヒソテレスをルネッサンス規の西洋人たちはどう授与したかみたいな話っていうのはまたすごい面白い論点がたくさんあるんですが |
1575.0 | 話が長くなるので |
1577.0 | 極端な話を言うとまたこの辺も以前少しお話しした部分いわゆる翻訳ルネッサンスっていう運動の中で |
1589.0 | アリヒソテレスの著作がヨーロッパ世界に再流入していくんですが実はこの時ヨーロッパ人たちが読んでいたのは |
1596.0 | アリヒソテレスの原点ではなくどちらかというとイスラム世界で作られたアリヒソテレスの原点に対する注釈書だったっていう書があったりするんですよ |
1606.0 | なるほどね |
1608.0 | 考えると実はルネッサンス規においてものすごい影響力を発揮していたのはイスラム世界のアリヒソテレス著作者たち |
1616.0 | 仲介者たちイブンシンナーあるいはイブンルシュルドみたいな人たちっていうのが非常に大きな影響を及ぼしてたりもするんですが |
1625.0 | その辺についてはアダム高橋先生の哲学者たちの転休っていう書籍でものすごく詳しく扱っていたのでぜひ興味ある方読んでいただければなと思います |
1637.0 | 世界は何でできているのか |
1641.0 | この問いかけに一定の答えを出したのはやはりアリヒソテレスでした |
1646.0 | アリヒソテレスの主張した4列説は実にルネッサンス規に至るまで基本的事実として人々に受け入れられ傾聴されていくこととなります |
1656.0 | この世界が何でできているかという問いかけの裏で実はもう一つ |
1662.0 | バテガク氏において非常に重要な問いが発せられていました |
1667.0 | 石を2つに割った時どこまでが石なのか世界の最小単位は何か |
1674.0 | この問いかけはやがて原子アトムといった概念を生み出すに至ります |
1680.0 | しかしながらこの原子説には真空という大きな問題がその後立ち果たっていくこととなるのです |
1690.0 | というわけで次回はキリシア哲学におけるある種の異端であった原子説デモクリドスについての話をできればなと思います |
1700.0 | 異端だったんですね |
1702.0 | そうですねその辺の話をまた詳しくできればな |
1705.0 | 楽しみにしてます |
1707.0 | というわけで今回は以上で終わりましょうか |
1710.0 | ありがとうございました |