【文字起こし】化学史#02: ギリシアの哲学者が考える「世界は何で出来ているのか?」

 著者: 小佐田

説明

万物のアルケーは○○である! 倫理の教科書でそんな言葉を見たことがある人が多いと思いますが、どうしてそう考えたのかというところについては曖昧だと思います。私もそうでした。タレスやヘラクレイトス、プラトンにアリストテレスに至るまで、彼らがどのように「世界が何でできているか」について考えていたのか。それに迫っていきましょう。(小佐田)

文字起こし

位置内容
0.0おさらさん
1.0はい
2.0ソフィーの世界っていう本があるんですけど
5.0ご存知ですか?
6.0ソフィーの世界?
7.0いやーごめんなさいわかんないですね
9.0これちょっと前の本で1991年の出版の書籍なんですね
14.0この本世界中でめちゃくちゃ売れていて
17.0大体世界で2300万部
20.0日本の包約版も200万部が売れたっていう大ベストセラーなんですよ
25.0めちゃくちゃ売れてんじゃないですか
27.0結構このこれ
29.0ジャンルとしては物語になるんですけど
33.0扱ってるテーマが結構重厚でして
36.0ざっくりあらすじを話すと
39.0主人公である14歳の少女ソフィーっていう少女に
44.0ある日謎の哲学者から不思議な手紙が届くっていう手を取ってる物語なんですね
49.0不思議な手紙
51.0手紙の内容っていうのが
54.0非常にざっくりと哲学講座でして
58.0神話の時代から始まって最終的に
61.0ダーヴィンとかフロイトに至るまで
63.0西洋哲学の歴史っていうものをずっと追いかけていくっていう
68.0結構チャレンジングな
71.0それでいてかなり平位出す言葉で
74.0その哲学を説明してくれてるっていう面白い物語なんですよ
78.014歳の少女に分かるぐらい簡単に説明してるってことですかね
82.0そうですね
84.0でここの本はさすが売れただけあるなっていう内容ではあるんですけど
88.0それこそ今回もまた少し扱っていくんですが
92.0ソクラテスだったりプラトンだったりアリストテレスだったりっていう所から始まって
97.0後ろの方はですね
99.0ロマンシュリー、ヘイデル、キルケゴール、マルクス、ダーヴィン、フロイト
105.0そして現代みたいな流れになってまして
108.0めっちゃすごいじゃないですか、網羅してる
110.0そうなんですよね、哲学の入門書、あるいは入り口の教科書としてもいても
114.0かなりいい書籍になってるんですよね
119.0なんでこの本の話をしたかっていうと
122.0今回からバテガク史、科学史っていうものを扱っていく中で
126.0哲学と哲学の歴史っていうもの
129.0いわゆる哲学史っていうものとの関連性がさてて通れないんですね
134.0ですので今回このバテガク史
137.0バテガク史っていうものに対して具体的な話に入っていくにあたって
141.0まず最初にこのソフィの世界の中で
145.0最初にソフィに届いた手が2つの手紙
148.0その手紙を引用するところからこの科学史っていうシリーズを始めたいと思っています
153.0というわけで
155.0このソフィの世界から2篇の手紙をまず最初に引用させてください
161.0この物語は2篇の非常に短い問いかけから物語が始まります
167.0あなたは誰?世界はどこから来た?
172.0というわけでこれからバテガク史っていう世界について
175.0少しずつお話していければなというふうに思います
178.0よろしくお願いします
185.0改めまして活躍中毒者計画の竹澤です
188.0同じく大沢です
190.0というわけで前回、収録的には前々回ですかね
194.0バテガク史についてそもそもバテガクって何図やっていう話を少しさせていただいたんですが
199.0今回から具体的なバケガクっていう学問の歴史について
203.0一つずつ順を追っていこうかなというふうに思っています
209.0バケガクの歴史
211.0前回もラストの方で少し哲学の歴史
214.0哲学の素であるタレスの影響っていうような話をさせてもらいましたけど
218.0バケガクの歴史と哲学の歴史
220.0その2つっていうのは全く同じ源流からその話が始まっています
225.0すなわち、最古の哲学者
228.0タレスによってバケガクの歴史っていうものが幕を当てていくことになるんですね
234.0タレス
235.0ミレトスのタレスなんていうふうに呼ばれたりもすることもあるんですが
240.0彼はソクラテス以前の最古の哲学者なんていうふうに呼ばれたりすることもあります
246.0そうなんですね
248.0活躍していた時期は紀元前の624年頃から546年頃というふうにされているんですが
255.0残念ながらこのタレスが具体的にどんな人物で
259.0どんな生活をしていたのかっていうことに対する確かな記述っていうものはほとんどが残っていません
266.0というのもこのタレス著作っていうものが一切残っていないんですね
272.0ですのでタレスより以後の時代の人たちが
276.0昔タレスがこういったっていうような形で
279.0引用している形でしか
280.0今日我々は彼の思想っていうものを伺い知ることはできません
285.0後日で引用されてたのがどんどん引き継がれていったっていう感じなんですか?
289.0そうですね
291.0実際にはタレスの著作っていうものが
293.0古代には存在していたのかもしれないですが
296.0残念ながら今日そのパピルスっていうものは伝わっていないっていうのが実情みたいですね
301.0ですので史上の人物とみなすかっていうものは結構微妙なところもありまして
308.0半分伝説上の人物、神話上の人物っていうのに片足を突っ込んでるような人だと思ってもらえれば近いのかなと思います
317.0このタレスの主張、最も有名なものの一つが
321.0万物の根源は水であるというものです
325.0高校の教科書なんかだと万物の根源、万物のある形っていうような言い方をしてたりもしますが
331.0とにかくタレスは世界は何で構成されているかという問い方に対し
337.0それは水であるっていう答えを用意したんですね
342.0このタレスの万物の根源は水であるという思想
346.0フレーズとしてもとても短くて分かりやすい部分もあると思うんですが
351.0素朴な感覚に立ち返ってみた時にかなりいい線を言っているといいますか
357.0かなり正確なところを言ってるなというふうに今日から振り返ってみても思えるのかなと思います
365.0まず私たちの住んでいるこの地球という星、水は大量にありますよね
370.0そうですね
371.0水の惑星なんていう言い方をしたりもしますが
375.0例えば海なんかを目の前にした時に水って無限にあるんじゃないかっていうような
380.0素朴な感覚っていうのはまず芽生えるのかなと思います
384.0そういった無限と間違うほど身の周りに溢れており
388.0かつ温度によって個体にも機体にも姿形を変える
393.0これを万物の層であるというふうにタレスが断じたっていうのは
397.0あるし結構今日から見ても納得性のある話なのかなと思いました
402.0このタレスの主張する万物の層
406.0万物の層、万物の根源は水っていう主張
410.0ここで私たちが特に注目しておきたいのは
414.0万物の根源が何かではなく
417.0万物に根源があるという主張そのものです
420.0つまり万物っていうものが
423.0何か一つのものを出発点として構成されているんだっていう思想
428.0この思想自体が結構この高生の絶画者たちにも受け継がれていくことになるんですね
435.0ただ万物の根源が何であるかっていう点については
439.0いろんな人たちの反論もしくは批判っていうものが
442.0この後加えられていくことになります
446.0具体的にはタレスの弟子であるアナクシマンドロスという人物は
451.0その根源を無限定なるものあるいは無限なるものというふうに
456.0ある種抽象化のようなものを行いました
459.0タレスはその水が無限っぽいところからそれが根源だと思ったけど
463.0さらに抽象化してその無限全体っていうものを
467.0この根源として扱うよってことですか?
470.0そうですね、もう少し平易に考えると
475.0何かその具体的に水っていうものなんじゃなくて
479.0無限にある何かというか
481.0無限定な何かっていうものが根源にあるんだっていうふうな
485.0主張をアナクシマンドロスは行ってるんですね
490.0この単一なるものは何かっていう主張
494.0その後の時代にもいろんな説が出てきてまして
497.0少し後の時代、アナクシメネスっていう人物は
501.0その根源を空気であるというふうにしていますし
505.0さらに後の時代のクセノファネスという人物は土
509.0またヘラクレイトスは火であるというふうに主張しています
515.0この人物の中でおそらく最も有名なのはヘラクレイトスになるかなと思うんですが
520.0ヘラクレイトスの主張、おそらく最も有名なものが
524.0万物は露天するっていう主張になるかなと思います
529.0このヘラクレイトスの万物は露天するという主張に立った時に
534.0万物の根源を水でも空気でも土でもなく火であるというふうに設定したのは
540.0マルシュ主張の一貫性といいますか
542.0説得力はある程度あるなというふうに思いました
547.0またこのヘラクレイトスの設定した火
549.0つまりエネルギーこそが万物の根源であるという主張
554.0これはものすごく先の時代で質量はエネルギーに変換できるということが証明されることで
561.0マルシュかなり遠回り的ではあるんですが
566.0半分ぐらいは正しいということが証明されてもいます
570.0ってことは結局質量がエネルギーに変換されて
575.0エネルギーが質量に変換されるっていう
579.0変換過程で火が出てるわけじゃないですか
582.0そうですね
583.0火っていうものを単純な三角関係反応の減少の火っていうよりは
589.0もう少し抽象的なエネルギーとして捉えた時に
592.0このEコレMC事情っていうわれわれが今に知ってる知識を前提に立つと
597.0ヘラクレイトスの主張っていうものはある種成立しちゃってる側面があるんですね
602.0火って燃える火かなと思ってたんですけど
605.0もうちょっと拡大解釈してエネルギーっていうふうに考えれば
609.0そうかすごいですね
611.0もちろんこのヘラクレイトスはこの現時点でそんな指揮を知る余しもないですし
615.0そこを想定していたわけではないんですが
617.0ある種今日振り返ってみた時に説明がついてしまうっていうものは歴史の妙だなっていうふうに思ったりもしますね
626.0この単一の物質が根源であるという説に対して
633.0様々な空気だったり水だったり土だったり火だったりという説が唱えられる中で
639.0それらをある種統括した打狂案っていうものを作ったのがエンペドクレスでした
646.0エンペドクレスは水空気土火の4つを4元素として
652.0万物はこの4元素で構成されているんだというような主張を行っています
657.0このエンペドクレスの4元素説
660.0今日の私たちの感覚から見ますとなかなかまた面白い側面を含んでいまして
665.0エンペドクレスは万物がこの4元素で構成されているっていうところからさらに組み込んで
671.0これら4つの元素は愛と憎しみによって結合したり分解したりするんだっていう主張を行っているんですね
679.0彼の主張この愛とか憎しみ愛憎っていうものによっての結合や分離っていうものが
686.0直接的に感情を表しているのかもしくは何らかの比喩的なものだったのかっていうのは
691.0今日では伺いすることしかできないんですが
695.0この元素だったりあるいは物質に対して自人化的な見方をするという概念自体は
702.0この後の時代うるねっさんすきもしくは
705.0今日に至るまでずっとバテ学っていうものの根底で引き継がれていく一つの概念になっていきます
713.0この辺はちょっとまたこのシリーズを通じて一つ主題としてお話ししていければなというふうにも思っているんですが
720.0割と今日でもいわゆるバテ学を成り沸いている人たちにおいて
725.0この物質の自人化っていうのは共通概念としてまだ持たれている側面があるんですね
731.0これらのこの元素たちが愛と憎しみを持って
737.0こうくっついたり離れたりしてるっていうふうにこの時代は考えたというかエンペトクレスは考えた
743.0そうですね
744.0なるほど
746.0その愛と憎しみっていうフレーズだけ聞くとなんというかこう
750.0キリシアの古典史的だなっていう気もしてくるんですけど
754.0ちょっとこの辺の話またいつか詳しくはやりたいんですが
758.0私自身バテ学科卒業してるんですがバテ学科の授業の中では結構
764.0元子が元子に恋をするとか
766.0元子と元子の略奪愛みたいな例えがよく出てくるんですね
770.0あーなるほどね
772.0なんか面白いねそれ
774.0実はこの元素あるいは物質の擬人化物質の結婚離婚みたいな概念で
781.0ルネスサンスキの錬金術とかにもかなり色濃く現れていて
785.0じゃあどっちかっていうとその時代にそういうふうに表現されたことが
790.0今でも残ってるっていうイメージですかね
793.0それがその歴史的経緯によって確立されたのか
797.0それとも元々我々に何かこの共通な関連的に備っていたものなのかっていうのは
803.0もう少し議論の余地があるのかなと思ってるんですけど
807.0この元子あるいは元素に擬人化あるいは人格的なものを見出すっていう性質
813.0それは結構面白いテーマなんじゃないかなと個人的には思ってます
818.0そうですね
821.0さて大部主題から話がズレてしまったんですが
824.0この四元素説
826.0この四元素説を続いて受け継いだのはソクラデスの弟子であるプラトンでした
832.0ただしこのプラトンの主張する四元素説っていうものは
836.0今までの火だったり土だったり水だったりっていうところからば
841.0またもう一つ少し飛躍したような内容を扱っています
846.0プラトンは4つの元素が4つの聖多面体に対応するという主張を行ったんですね
853.0聖多面体
855.0また非常に相骨しい話になるんですが
858.0プラトンは土が聖六面体
861.0水が聖二十面体
863.0空気が聖八面体
865.0そして火が聖四面体で表せるっていう主張を行っています
871.0どういう風に表せるの?
874.0この辺は非常にプラトンらしいなという気もしてくるんですが
880.0この元素っていうものが多面体に対応していて
884.0ゆえに相互変換が可能であったり
887.0混ざり合ったりすることができるんだっていう主張をプラトンはしてるんですね
892.0多面体だからこそ
894.0なんか共有する面があったり
897.0似たような形を持っている部分があるからこそ
900.0その部分を通じて合体したりまた分離したりっていうこと?
905.0そうですね
906.0この先ほど挙げた4つの聖多面体
910.0特に水空気火を形成している聖二十面体
914.0聖八面体聖四面体っていうのは
917.0一面がすべて三角形で構成されてるんですね
921.0なるほどね
923.0なのでこれら3つの元素は
925.0互いに混じり合ったり変換し合ったりしやすいんだってプラトンは視聴するんですよ
931.0なるほどなるほど
933.0実際に例えば
935.0例えば原子がそういう形をしてるとかではなくて
938.0関係性を表した時に
940.0聖六面体だったり聖二十面体だったりっていう形で書けるよってこと?
946.0そういうのに近いんですかね
949.0またプラトンこっからさらに発展させて
952.0聖六面体つまり土を構成している聖六面体っていうのは四角形
957.0要はサイコロの形ですので四角形で構成されているんですね
962.0なので他の元素と混じり合わず不活性で動きにくいんだっていうことも言ってるんですよ
968.0へー面白
971.0この辺はプラトンっていう人物がピタゴラス楽派から影響を受けていたっていう側面も無視はできないかなと思うんですが
979.0ある種イデアっていう世界を無双したプラトンの主張らしいなと思います
986.0ただこの聖太面体による元素説、このプラトンの主張っていうのはプラトン自身もある種怪奇的な立場っていうのをとっていたようです
996.0この辺も非常にプラトンらしいなと思うんですが
1000.0プラトンの主張で最も過去を形成しているイデア
1004.0ちょっと今回そんなに踏み込まないんですが
1007.0つまりプラトンは現実世界っていうものはイデアの世界の過でに過ぎないんだっていうような主張を行ったんですね
1015.0その立場に立った時に
1017.0元素っていう現実世界の現象を厳密に正しい議論をするのは無理だっていうふうにプラトンは主張するんですよ
1028.0非常にプラトンらしいなっていうふうに個人的には思ったんですが
1033.0この辺の主張、この多面体によってもしくは数学的な原理によって元素を議論するっていう主張自体も
1042.0実は今日では素流思論あたりで真面目に議論されている分野だったりもします
1048.0この辺はかなり難しいし私の専門からも外れるのであまり議論はしないんですが
1053.0まだ興味ある方は調べてみていただければなと思います
1058.0さて、うちの話を戻すんですが
1061.0プラトンの弟子であったアリヒソテレスも四元詐説っていうものを継承しました
1067.0ただしそれはプラトンの元とはある種対立的な印象を受けるようなものになっていきました
1075.0改めてアリヒソテレスがどのような人物だったのかっていうのをこの場で語り尽くすことは正直無理なんですが
1082.0西洋の地の源流において彼の影響から逃れるっていうことはほとんど不可能と言ってもいいぐらい多大な影響を残した人物です
1092.0アリヒソテレスは紀元前384年頃マテドニアで生まれ、アテネにおいてプラトンの元で学びました
1100.0その後、かのアレクサントロス大王の家庭教師を勤めた後
1104.0アテネに戻り、リュケイオンと呼ばれる学園を開き多くの人を教えています
1110.0今日アリヒソテレスの著作として残っているものはほとんどがこのリュケイオンにおける講義ノートだというふうに言われています
1119.0彼がこのリュケイオンで扱った学問というものは
1122.0天文学、動物学、夢、刑事上学、論理学、倫理学、政治学、そして美学まで
1131.0おおよそ、今日、ほにゃらら学と呼ばれるもののほとんどがアリヒソテレスによってその土台が築かれているんですね
1141.0もちろん、今私たちが議論している化け学というものも
1146.0このアリヒソテレスの影響というものを多大に見ていていまして
1150.0アリヒソテレスの主張したこの四元祖説というものが
1154.0結果的に西洋世界におけるある種一つのベースを担っていくことになります
1161.0アリヒソテレスの四元祖説
1164.0これは基本的にはエンペドクレスの四元祖説をベースにそこから改良を加えたような内容になっています
1171.0プラトンの元と比べ、どちらかというと自然物、つまり現実世界を観察し
1177.0そこからすりすりするというような手法で考えられているアリヒソテレスの四元祖説は
1182.0それぞれの幻想というものが実際の物質を直接表しているとは考えず
1190.0あくまでも我々の触れている水というものは幻想である水が最も色濃く現れた物質であるというような考え方をしました
1201.0この部分については少し補足が必要なのかなと思うんですが
1206.0今までの人たち、つまりタレスの主張した万物は水であるというような思想というものは
1213.0本当にそのまますべての物体が自ら構成されているというような発想が根底にありました
1220.0一方でアリヒソテレスのこの主張というものは
1224.0我々の見ている水というものは水の元祖の性質が最も色濃く現れたもの
1231.0つまり水の元祖の割合が高いものというものに過ぎず
1235.0元祖としての水そのものではないという主張をしたんですね
1240.0この4元祖の構成によってそのものが規定されているというイメージですね
1245.0そうですそうですそうです
1247.0また元祖による構成という部分からアリヒソテレスをさらに踏み込んでいまして
1253.0アリヒソテレスはこの4つの元祖を温と冷、つまり温かいと冷たい
1259.0そして乾と湿、乾いていると湿っているという相対する2つの性質の組み合わせで分類できるというふうに言ったんですね
1270.0すなわち火の元祖であれば温かくて乾いている、空気であれば温かくて湿っている
1279.0そして土であれば冷たくて乾いており、水であれば冷たくて湿っているというふうな分類をしたんですね
1288.0火、空気、水、土で順番に4つになって今ひし形みたいな図ができました頭の中で
1297.0そうですね、よく教科書とかに関われるのはひし形のような図でそれぞれに対して矢印を引っ張って
1303.0温かい、冷たい、湿っている、乾いているなんていうような矢印が引っ張ってあるものがあるかと思うんですが
1310.0このアリヒソテレスの4つの性質による分類っていうところをとって
1315.0どちらかというとこれ4元祖説ではなく4性質説なんじゃないかっていうような主張をする人もいたりするんですが
1323.0この主張における1つのポイントは4つの元祖がそれぞれ総合変換可能であるっていうふうなことを言ってるんですね
1334.0現時点ではこの総合変換可能であるっていうものはあくまでその元祖の性質を示した概念にすぎなかったんですが
1342.0結果的に後々の歴史でこの元祖の総合変換っていう概念が錬金術っていうようなジャンルを作っていく一条語になっていくことになるんですよね
1351.0変換できるからこそ生み出せるかもしれないっていう
1357.0そうです
1359.0そういった意味でもアリヒソテレスが化学史に与えた影響っていうものはかなり無視できないところがあるんですね
1366.0このアリヒソテレスの4元祖説他にも付随していくつかの主張がなされていまして
1373.0その中でも特に西洋の化学史において影響を与えたのは各元祖がそれぞれ固有の性質を持っているっていうような主張でした
1383.0これがかなり正直今日の我々からは理解し難い部分でもあるんですが
1390.0落下するっていう現象は土の本性であって上昇するっていうものは火の本性だっていう主張をしたんですね
1399.0なるほどってことはこの土のこの霊と感と火であれば温と感だから温の属性を持っている物質は上昇しやすくて霊の属性を持っている物質は落下しやすいっていうそんなイメージ
1422.0性質という概念が後々いわゆる天道説地道説っていう議論が行われる中で非常に一つ大きな論点になっていくわけで
1436.0つまり物体が落ちるっていう現象はその物体に落ちるという本性があるからだっていうのがアリヒソテレスの行った主張なんですね
1448.0そこから脱するっていうところに我々人類はまた多大な労力を払っていくことになるんですが
1456.0その話はまた天文学の歴史のジャンルになるのかなと思います
1461.0またアリヒソテレスこの4元素の他にもう一つ第5元素っていうものを想定しています
1471.0アリヒソテレスは世界っていうものを月より下の地上の世界と月より上の天井の世界っていうものの2つにまてて考えました
1482.0我々の生活している地上つまり月より下の世界っていうものはこのアリヒソテレスの4元素っていうものが通用するのですが
1491.0一方で月より上の世界っていうものはこれら4元素が存在せず
1496.0エーテルと呼ばれる第5の元素がその空間を満たしているんだっていうふうにアリヒソテレスは主張したんですね
1503.0この月の上と下で異なる法則が働くというこの思想
1508.0これも17世紀化学革命において非常に大きな論点の一つとなっていった部分です
1515.0このあたりまたちょっと詳しい話をすると非常に話が長くなってしまうのではしょるんですが
1521.0結果的に我々人類がこの月の上と下っていうものを統一することができたのはニュートンの登場を待たねばなりませんでした
1531.0そういった意味でこのアリヒソテレスの影響っていうものは化学史あるいはもっと広い範囲
1538.0化学史において15世紀ルネッサンスに至るまで長い影響を及ぼしていくこととなったのです
1545.0なんかいろいろな学問の核になってるっていうか元になってるっていう気はしますよね
1553.0そうですね
1555.0なんかこっから考えられてこれが改良されててっていうのがなんか分かるというか
1563.0そうですねこの辺のアリヒソテレスをルネッサンス規の西洋人たちはどう授与したかみたいな話っていうのはまたすごい面白い論点がたくさんあるんですが
1575.0話が長くなるので
1577.0極端な話を言うとまたこの辺も以前少しお話しした部分いわゆる翻訳ルネッサンスっていう運動の中で
1589.0アリヒソテレスの著作がヨーロッパ世界に再流入していくんですが実はこの時ヨーロッパ人たちが読んでいたのは
1596.0アリヒソテレスの原点ではなくどちらかというとイスラム世界で作られたアリヒソテレスの原点に対する注釈書だったっていう書があったりするんですよ
1606.0なるほどね
1608.0考えると実はルネッサンス規においてものすごい影響力を発揮していたのはイスラム世界のアリヒソテレス著作者たち
1616.0仲介者たちイブンシンナーあるいはイブンルシュルドみたいな人たちっていうのが非常に大きな影響を及ぼしてたりもするんですが
1625.0その辺についてはアダム高橋先生の哲学者たちの転休っていう書籍でものすごく詳しく扱っていたのでぜひ興味ある方読んでいただければなと思います
1637.0世界は何でできているのか
1641.0この問いかけに一定の答えを出したのはやはりアリヒソテレスでした
1646.0アリヒソテレスの主張した4列説は実にルネッサンス規に至るまで基本的事実として人々に受け入れられ傾聴されていくこととなります
1656.0この世界が何でできているかという問いかけの裏で実はもう一つ
1662.0バテガク氏において非常に重要な問いが発せられていました
1667.0石を2つに割った時どこまでが石なのか世界の最小単位は何か
1674.0この問いかけはやがて原子アトムといった概念を生み出すに至ります
1680.0しかしながらこの原子説には真空という大きな問題がその後立ち果たっていくこととなるのです
1690.0というわけで次回はキリシア哲学におけるある種の異端であった原子説デモクリドスについての話をできればなと思います
1700.0異端だったんですね
1702.0そうですねその辺の話をまた詳しくできればな
1705.0楽しみにしてます
1707.0というわけで今回は以上で終わりましょうか
1710.0ありがとうございました