【文字起こし】化学史#03 ギリシアの哲学者の「原子論」
著者: 小佐田
説明
18世紀、ジョン・ドルトンが原子論を提唱しました。ですが、それよりも2000年以上前にギリシアでは「万物のアルケーはアトムである」と語った男がいたのです。今回はそんなデモクリトスなどに代表される古代ギリシアの原子論について見ていきます。(小佐田)
文字起こし
位置 | 内容 |
---|---|
0.0 | おさまさん、原子と元素の違いって説明できますか? |
7.6 | 原子と元素の違い? |
10.1 | 原子っていうのは、文詞を構成してる一個ずつのことだよね |
17.3 | で、元素っていうのは、私は今頭の中完全にメンデレーフになってますけど、あの水平リベっていうあの表に書かれてるやつってことですよね |
27.1 | あれ、それって一緒じゃないんですか? |
29.7 | 厳密にはこの2つ、特に歴史的には大きく分けられてきたっていう経緯があるんですね |
37.0 | 今回、原子論についてお話しするんですが、それに対応する元素論っていうのは |
43.6 | 前回お話ししたアリストテレスの主張してきた、4元素とかいうものに単を発してる主張なんですよ |
51.8 | 一方で、原子論っていうのは |
54.3 | 元素論が物体の質、つまりその性質についての議論をしていたのに対して |
61.2 | 物体の量についての議論をしてるんだっていうような指摘をされたりします |
67.3 | ざっくり言ってしまえば、さっき文詞を構成しているっていうようなことを言ってもらったんですが |
72.4 | それと同じように、物質がそれ以上分割できない粒子から構成されているんだっていうのが原子論の主張の立場です |
80.8 | ここで一つ問い合わせたいんですけど |
84.0 | 原子論、受け入れられてますか?っていう |
87.9 | え? |
90.0 | 受け入れられているか? |
92.0 | どういう観点から? |
93.8 | いやだって冷静に考えておかしいじゃないですか |
96.5 | 我々がただのつぶつぶの塊だっていうことに本当に納得できてますか?っていう |
102.6 | あー確かになんか教科書で書いてあって |
106.2 | 何度もその内容をこう聞いてきて |
109.5 | そういうもんだなって中はね納得させているところはありますよね |
115.6 | 実際にそれが見えるわけでもないだろうし、この肉眼だけでね |
120.5 | 我々は原子を見たことがないし、感じたこともないんですけど |
125.6 | ただ教育っていう結果で原子論っていうものを素朴に信じている、受け入れてるっていう側面があると思うんですね |
133.5 | 今回原子論の辿ってきた歴史についてバーっといろいろお話ししようと思うんですが |
138.8 | 原子論っていう主張をその単純に分割できない粒子から構成されているんだっていう以上の多くのことを実は語っている |
147.9 | そんな主張でもあるんですね |
151.4 | というわけで今回はそんな原子論の世界の話をしていけたらなぁというふうに思います |
156.4 | よろしくお願いします |
163.6 | 改めまして火水中毒者警告の竹澤です |
166.4 | 同じく大沢です |
168.8 | というわけでちょっと前回からだいぶ時間が空いてしまったんですが |
173.0 | そうですね |
174.5 | 前回がアリストテレスたちの主張した原子論の話をバーっとしてきたんですね |
180.8 | それに対して今回は原子論、その小さい粒の話っていうのをしていこうと思います |
187.2 | なるほど |
188.6 | この原子論、最初に断っておきたいんですが |
191.6 | 原子論、結果的に古代ギリシャではあまり受け入れられず |
195.2 | 立地的にアリストテレスの原子論に到達されてきたっていう歴史があります |
200.5 | そのため原子論、提唱者である人物たちっていうのの存在自体がかなり怪しい状態になっていまして |
207.4 | よく原子論の論者として代表されるデモクリトスでさえその著作に目録のみが残っているのみで |
213.4 | そのほとんどは算一してしまっているっていう状況なんですね |
219.6 | そんな原子論、ネットのところから語っていきたいと思うのですが |
223.9 | 原子論の提唱者、レウキッポスという人物がまず初めにいたというふうに考えられています |
231.6 | 非常に曖昧な語り口になってしまっているのはこのレウキッポスという人物 |
236.4 | 著作が残っていないばかりか本当に存在していたのかっていう部分も結構微妙なところにある人物なんですね |
245.0 | 一応分かっている範囲ではパルメリですっていう人物に学び |
249.3 | ゼノンからにも影響を受けたということそしてデモクリトスという人物を弟子にとり |
254.7 | そういった主張を行ったっていうのがレウキッポスについて分かっていることです |
259.5 | ゼノンはストア派のゼノンですか? |
261.5 | そうですねゼノンのパロドックスなんかで有名だと思うんですが |
264.7 | そのストア派のゼノンっていうところの影響を組んでいる人物ではあるっぽいんですね |
269.7 | それぐらい分かんないってことなんですね |
272.6 | レウキッポス一応トラキアの沿岸にあったアブデラっていう付近の地域の出身であるということは分かっているようでして |
280.0 | 唯一残っている断片では |
282.3 | いたずらに落ちることは何もなくすべては理由と必然によって落ちる |
287.6 | という謎めいた一文が残っている程度になっていると言われています |
294.4 | このレウキッポスのこの謎めいた一文 |
297.6 | 結果的にこの一文が原子論という理論全体を貫いていく思想になるということが |
303.2 | 今回お話ししていきたいなというふうに思っていきます |
308.0 | さてそんなレウキッポスの弟子 |
310.6 | デモクリドスという人物が活躍したのは紀元前460年頃から370年頃だというふうに言われています |
318.7 | 生まれはミレトスの方でその後バビロンエジプトアテネ等を旅した後 |
323.6 | アブデラに落ち着きレウキッポスに支持したというのがデモクリドスのおおよその反省のようです |
331.0 | 非常にマディラシーですがデモクリドス |
333.7 | いわゆるソクラテス以前の哲学者という区分に入れられている人物になります |
340.4 | マディラシーと言ったのは |
342.1 | ソクラテスが大体紀元前470年頃から399年頃の人物ですので |
347.8 | デモクリドスとソクラテス一応同時代の人間にはなるんですね |
351.7 | 10歳差ぐらいしかないんですね |
353.9 | 大体ほとんど同じ時代に活躍していたっていうのは確かなようで |
358.1 | ソクラテス以前というふうに分類してしまうのはちょっと日本語的におかしい部分もあるんですが |
362.8 | これどちらかというと学問的な分類という側面が強いようですので |
367.6 | そういった意味でソクラテス以前というふうな分類をされています |
372.6 | デモクリドス先ほど申し上げたとおり著作っていうのが目録が残るのみでその完全なものっていうのは残っていません |
380.6 | ただ様々な影響力があったっていうのは確かなようで |
384.4 | 例えばアリストテレスの刑事学上の中ではデモクリドスの主張について言及している部分っていうのが見られたりしますし |
391.3 | 後々の時代の中でデモクリドスがこういうことを言っていたっていうような調査が他の人の書籍から出てくるっていうのが |
397.3 | たびたび散見されるたくえの人物なのです |
401.9 | デモクリドスの主張 |
403.6 | これがいわゆる原子論の骨紙になっていくのですが |
407.2 | 万物は空虚の空間の中を運動するアトムという分割不可能な微粒子からなっている |
413.8 | というのがデモクリドスの主張の概要でした |
417.1 | まあこれがいわゆるアトム原子っていうものの所出に近いというふうに言われているんですが |
422.7 | ちょっとこの辺も割と曖昧だったりします |
426.3 | まあ何がともあれデモクリドスは万物の根源っていうものを分割不能な原子アトムっていうものにおき |
433.7 | それの形状だったり向きだったり入れず配置っていうものが物体ごとの違いを生じさせているんだ |
440.0 | っていうような証拠だったんですね |
444.0 | このデモクリドスの原子論 |
446.0 | 記録しされなかった理由っていうのがいくつかあるんですが |
449.1 | 一つ目はこの空虚という部分にあります |
453.5 | というのも |
454.6 | アリスタテレスを中心とした当時の自然学の主流では |
458.4 | 真空嫌悪説 |
460.0 | 自然は真空を嫌うっていうのが一般論だったんですね |
465.8 | アリスタテレスがなぜ自然は真空を嫌うのかっていうふうに結論に至ったのかっていう部分 |
471.4 | これなんかちょっといくつか論拠があるようなんですが |
473.9 | 一つはアリスタテレス自身も主張していた四元素説によるものです |
479.2 | 四元素説 |
480.5 | 物体を構成する四つの元素 |
482.8 | それぞれが固有の場所が宇宙の中にあるっていう主張を内包しています |
488.6 | このあたりは現代の我々から見て理解がし難い部分でもあるんですが |
494.1 | アリスタテレスは土が落下するのは |
496.9 | 土という元素が地球に向かって落下する性質を持っているからだみたいな主張を行ったんですね |
505.1 | 逆に火であれば火っていうものは空に昇っていく性質があり |
509.8 | 空の方にその固有の場所があるんだっていうようなことを考えたんですよ |
515.0 | 固有の場所 |
516.7 | ってことは火を司っている根源的なものがどっかにあってそれに向かうっていう感じなんですね |
524.2 | そんな感じのイメージですね |
528.0 | この時に空虚な空間、何もない空間っていうものがあると |
532.1 | その方向性っていうものが決定できなくなり |
534.9 | 従って真空は存在しないっていうような論章を踏んでるんですが |
539.0 | このあたりは正直言ってあんまり理解しづらい部分なのかなというふうに思っています |
544.8 | 中立がダメっていうような感じなんですかね |
549.1 | もう一つのアリストテレスの例えの方が現代から見たときに割と理解しやすいのかなと思っていて |
555.5 | それは物体の運動をどう考えるのかっていう部分の議論です |
561.1 | デモクリドスたちは、むしろ物体が運動するためには空虚な空間がなければ |
566.8 | 物体が前に進んでいくことはできないんだっていうような主張を行ったんですが |
571.0 | 逆にアリストテレスは |
573.2 | 空気中の物体の運動、例えば |
578.0 | 垂直に物を投げてそれが落ちてくるような運動を想定してほしいのですが |
583.0 | その際にボールが空に向かって投げられたときに |
587.2 | 水の中を進む魚のようにボールは押しのてた空気によって推進しているんだっていうふうにアリストテレスは考えたんですね |
596.7 | このアナロジーは割と理解しやすい部分かなというふうに思うんですが |
600.7 | よって空虚がなくても運動自体は可能であり、真空は存在しないんだっていうのがアリストテレスの主張だったようです |
610.4 | この真空の部分っていうのも後々色々議論になっていく部分ではあるんですが |
615.5 | もう一つ、決定的にデモクリドスが支持されなかった理由っていうものがあります |
621.2 | それは原子炉っていうものを魂の領域にまで拡張したっていうことが一つ大きな原因です |
631.0 | 科学者の話をしているはずでだいぶスピリチュアルな領域に踏み込んできてしまっているんですが |
637.4 | 実はこの当時、割と魂の実態は何かっていう議論に対する答えの一つとして |
643.8 | それは息であるっていうふうな考え方が主流だったようです |
648.0 | 息、呼吸ですね |
651.1 | 文献によっては熱い呼吸っていうふうに限定して書かれたりするようなものも見かけたんですが |
657.2 | まあそれは割かし納得性のある部分かなと思います |
661.0 | 生きている人間と死んでいる人間を分けているものは何かっていう問い方に対してそれは呼吸だっていうのは |
667.7 | まあ確かにっていう気もする |
671.2 | デモクリドスは魂は呼吸であり |
674.5 | そして呼吸、その息の実態は空気であり |
678.2 | 空気は原子で構成されている |
680.7 | よって魂は原子からなるっていうふうに考えたんですね |
686.4 | お気づきになられているかもしれないんですが、このデモクリドスの主張 |
692.0 | 明確に唯物論への扉を一つ開いています |
697.2 | 唯物論、つまり世界が物質によって成り立っており |
702.1 | いわゆる精神だとか魂だとか、あるいは神っていったようなものを否定する |
707.7 | そういった学問というふうに考えてもいいのかなと思うんですが |
711.9 | デモクリドスはこの唯物論がゆえにアリス・オテレスたちの |
716.4 | 主張していた議論っていうものと、いまいち神山図 |
720.3 | 結果的に忘れ去られていったっていう側面があるようです |
724.0 | そうかそうか、この時代は |
725.7 | 物質とその物質以外のものっていうのが明確に分けられてたっていう時代なんですね |
731.6 | まあなんかその |
733.3 | なんていうの、精霊的なもの、精霊ってことは正しいかどうかわかんないけどその |
738.3 | 物質じゃない存在っていうものに |
740.7 | 規定される部分っていうのがいくらかあったっていうふうに考えられてたってことですよね |
744.6 | それがデモクリドスはこの |
747.1 | 物質の方に重きを置いているので退出したってことですかね |
751.1 | えっとですね、このあたりはかなり難しい部分にもなるんですが |
755.4 | このデモクリドスとアリス・オテレスを比較して、なぜアリス・オテレスが生き残ったのかっていう部分 |
762.7 | これは正直言ってキリスト教の影響を抜きにして語ることはできないのかなと思っています |
769.1 | アリス・オテレスの主張した世界観っていうものは |
772.4 | ある種目的論的な側面っていうものがあったんですね |
777.1 | 目的論? |
779.1 | 土が地面に落ちるのは地面に向かうという性質っていうふうに言ったんですが |
784.8 | その部分を目的というふうにも言い換えることができて |
790.0 | えっとですね |
793.1 | 論文の言葉を借りればデモクリドスたちの主張したこの唯物論っていうものが |
797.6 | ある種質量主義者という面があって |
800.8 | それに対してアリス・オテレスたちの主張っていうのは |
804.1 | 敬相主義というふうにも呼ばれたんですね |
807.0 | そしてこの敬相主義っていうもの |
809.8 | キリスト教との親和性が非常に高いっていう側面があったっていうのは否定できないようです |
816.0 | なるほど |
817.0 | まあちょっとこの辺の話はかなり厄介な話になるので |
819.6 | またいつか踏み込んだお話をしたいなぁと思っているのですが |
823.4 | ともかく劣質的な結果だけ見ればデモクリドスの著作っていうものは三一し |
829.7 | そして世からは忘れ去られていくこととなりました |
834.4 | ちなみにこのデモクリドスの著作が忘れ去られていく過程 |
837.3 | いくつか伝説めいた話というものが残っていまして |
840.7 | 最も有名なものは |
842.7 | あのプラトンがデモクリドスの著作を集められるだけ集めて全て焼いたっていうような話が残っています |
849.9 | ほー |
852.0 | プラトン ソクラテスの弟子にあたる人物で |
854.8 | アリストテレスに繋がっていくような人物でもあるんですが |
858.4 | そのプラトンが本を焼いた |
861.2 | それが結果としてデモクリドスが我々に伝わっていない理由の一つなのかもしれない |
866.0 | というような話があったりするんですね |
872.3 | さてここから少し時間軸を大きく飛ばして |
875.9 | ヘレニズム紀の原子炉についての話を少し足してください |
879.7 | はいというのもこのデモクリドスの打ち立てた原子炉が現代へと伝わってくる上では |
885.7 | ヘレニズム紀のエピクロス派という人たちがとても重要な役割を果たしているからです |
892.0 | エピクロス派まあ名の通りエピクロスという人物が打ち立てた画伯派になるのですが |
898.8 | 最初に出たレオキッポスもデモクリドスもそしてこのエピクロスも |
903.6 | 著作っていうものは残念ながら現代にまで伝わっていません |
906.4 | 残念 |
907.9 | この古代ギリシャの原子炉っていうものを今日に伝える上で非常に重要な役割を果たしたのが |
914.0 | エピクロスを主とした |
915.7 | ルクテイス、ルクレテイスという人物です |
920.4 | ルクレテイス |
921.6 | だいたい紀元前99年から54年頃 |
924.9 | つまり京和世ロマ紀のユリウスカエサルなんかと被っている時期に活躍した人物になるようなのですが |
931.0 | 彼が紀元前70年頃に書いた |
934.1 | 物の本質についてという長い長い史の中で原子炉についてこと細かに内容が述べられています |
943.5 | この |
944.5 | ルクレテイスの史上を少し丁寧に追っていきたいのですが |
948.0 | 大きく分けて大体3つの史上が内部でなされています |
953.2 | 一つ目は無から有は生じないということ |
957.3 | 原子という存在は不生不滅であり |
960.4 | いかなる物質も無に変えることなく原子へと還元される |
965.0 | これはルクレテイスが出た自然というものが持っている第一の原理でした |
970.8 | そして二つ目が空虚の論章 |
973.9 | いかなる機密だと思われている |
976.1 | いかなる緊密だと思われている材料でも |
978.6 | それらを構成している物質は素なんだというふうに彼は主張します |
982.7 | 万物は物質と空虚によって成り立っているんだというのが彼の主張です |
990.8 | そして三つ目が原子 |
993.5 | 物の本章には強固にして高級的に構成されるような部品があるはずだ |
999.0 | それが原子なんだっていうのがルクレテイスの原子の定義でした |
1005.2 | ルクレテイスはこの物の本章についてという本の中で原子説を徹底的に切り解け |
1012.4 | 物体は原子の結合運動順序配列形状によって決定されているんだというような主張を行いました |
1022.6 | 実はデモクリトスの時点では運動という概念はなかったのですが |
1027.6 | 運動という概念の付与がエピクロスあるいはルクレテイスによるオリジナリティになっています |
1033.9 | 結果的に後の時代から見たときこの |
1036.7 | 足された運動という要素が原子論が成立する上で非常に重要な役割を果たすことになりました |
1044.6 | ルクレテイス原子論による世界の解釈についていくつか詩の中で述べていまして |
1050.1 | 例えば |
1051.2 | ガラスが光を通し |
1053.7 | 水を通さないそれは光の原子が水よりも小さいからだっていうような主張を行っています |
1063.3 | また同じ文脈の中で |
1067.1 | ワインまあ武道士とオリーブアブラを比較してオリーブアブラの方が粘土が高いのは原子の大きさが違う |
1074.3 | からだっていうような主張も行っているんですね |
1077.6 | オリーブアブラは大きな原子で構成されているか |
1080.9 | もしくは引っかかりを持ったような形の原子で構成されているから |
1085.2 | 武道士よりも粘土が粘性があるんだっていうようなことを言ってるんですね |
1090.7 | ああじゃあ |
1092.0 | この時代の原子っていうのはすべてが球体のように考えられていたわけじゃなくて |
1098.6 | 細かい色々な形があるから |
1101.4 | 例えば粘土が違うやつは原子同士で引っかかる部分が存在するとか |
1107.7 | そういう感じで考えられたってことですか |
1109.7 | そうですね原子っていうものに形や形状があるんだっていうのは |
1114.6 | 実はデモクリトスあたりに単を発する主張ではあるんですが |
1118.5 | それの組み合わせによっていろんなものが構成されているんだっていうのが |
1122.0 | この当時主張されていた原子論になります |
1126.8 | この辺の原子の形 |
1128.8 | 現代の我々は分子の形というふうに呼んでいるんですが |
1132.3 | それによって世界のとくいろんな物理的な挙動を説明しようっていうルクレテウスの試み |
1137.8 | これは現代の馬蹄学にかなり通じる部分があるのかなというふうに思います |
1142.0 | うんうんうん |
1144.3 | またこのルクレテウス物の本性 |
1147.6 | 物との本性っていう著作の中で |
1150.6 | 真意、神の意志、もしくは目的といったものにはっきりとノーを突き捨てているんですね |
1158.5 | 著作から引用するんですが |
1161.0 | 原子が秩序だった配列を取るのは |
1163.6 | それぞれが先を見通して意識的に自己の位置を占めたからではない |
1169.0 | 原子は数が多く、かつあらゆる具合に変化を受け |
1173.0 | 無限の彼方から打撃を受けて運動を起こし、現在の配列にたどり着いたんだ |
1180.0 | ルクレテウスはこういうことを主張しているんですよ |
1182.9 | じゃあアリストテレスのその天に向かうとか地に向かうっていうそういう |
1187.2 | 目的みたいなものは原子にはないっていうふうに言ったってことなんですね |
1191.2 | そうですね |
1193.1 | これはデモクリトスが到達していた優衣物論っていうものをより成果させたもの |
1197.1 | というふうにも読めるのかなと思うんですが |
1200.0 | 結果的にこの鋭さっていうのがキリスト教世界の中で |
1203.7 | 中世世界の中で原子論が仕続けられていた一因にもつながっていったっていうのが実情のようです |
1210.1 | なるほど |
1213.1 | 結果的に原子論、こういった流れの中で中世の間、ヨーロッパ世界では長い長い眠りにつくこととなっていきました |
1221.6 | ルクレテウスのものの本性について、これが再発見されるまでは実に1400年以上の時間が必要だったのです |
1230.4 | というのが非常にざっくり |
1233.1 | ざっくりのさらった古代記者から |
1236.0 | ヘレニズム紀の原子論、中世に至るまでの原子論というものの流れになります |
1241.1 | 今回も難しいですね |
1243.1 | だいぶ難しい話になってしまったなって印象があるんですが |
1248.3 | デモクリトスの空虚がないと |
1253.0 | 運動ができない、アリストテレスがボールが押し抜けた空気によって推進している |
1259.2 | っていうふうにやってて空虚がなくても運動が可能になるという話だったと思うんだけど |
1263.7 | デモクリトスは空虚が必要ってことなんですか |
1267.9 | 原子が空虚の中しか運動できないって思うんですか |
1271.2 | 単純に世界が原子で構成されているって考えたときに |
1278.2 | 必ずそれが |
1281.1 | デモクリトス、機科学者でもあったので原子に初めから形っていうものを想定しているんですが |
1288.2 | 形が完璧に充填できることはないっていう発想には気づいていたはずなんですね |
1292.6 | 空間を完璧な球体で埋めることは不可能ですよね |
1296.8 | 隙間ができちゃうってことですよね |
1298.8 | その部分って真空ですよね |
1301.7 | 真空っていうのは |
1303.7 | 我々が考える真空とはだいぶ意味が違うってことですよね |
1307.7 | 中に何もない原子っていうものが入ってない空間 |
1311.8 | それが全ての空間に入っている |
1314.3 | それが全ての空間に入っている |
1316.3 | それが全ての空間に入っている |
1318.4 | 中に何もない原子っていうものが入ってない空間 |
1322.4 | っていうのがこの意味での真空ってことなんですね |
1326.4 | そうですね |
1327.6 | 今日の我々が考える真空っていうのもそれに近い部分はあるので |
1331.6 | それはそうか |
1335.6 | 逆にアリストテレスの方はその間は何らかの元素で埋めているってことなんですか |
1343.6 | 何らかの物質で埋まっているっていうふうに |
1347.8 | そもそもまず我々が原子論的世界観の中で生きているので |
1351.8 | 原子論ではない世界っていうのを想像するのがまず難しいんですが |
1355.8 | そうですね |
1357.0 | アリストテレスはそうは考えなかったようなんですね |
1363.0 | この辺りはその4元素説 |
1365.0 | もしくはエーテルも合わせた5元素っていうものが |
1367.0 | 今日から見た時に |
1369.0 | ちょっとなかなか理解が直感的ではない位置にもなっているのかなと思うんですが |
1375.0 | どうしても我々漠然とその4元素っていうふうに言われると |
1379.0 | それぞれに対応した原子を想定してしまう屈指があるので |
1383.0 | そうですね |
1387.0 | 原子論を排除して原素論を理解するっていうのは |
1391.0 | 実は今日の我々から見て案外難しいことなのかなって思っています |
1395.0 | そうかもしれないですね |
1397.0 | 世界は何でできているのか? |
1399.0 | 世界の最小単位は何か? |
1401.0 | ギリシアの哲学者たちが世界について無双に吹けり |
1405.0 | 健々合々の議論を繰り広げている中 |
1407.0 | バテガクその実践は銀銅鈴鉛といった鉱石の精錬 |
1413.0 | そして夜金術や金材区といった実量にありました |
1417.0 | 子から弟子へ |
1419.0 | 親から子へと技術という形で継承されていったその技は |
1423.0 | やがて金と銀を人類的に生成するという大きな野望を持つようになります |
1429.0 | 高貴なる技 |
1431.0 | 後の時代にそうとも呼ばれることになった錬金術 |
1435.0 | その方がはこの時代すでに存在していたのです |
1441.0 | というわけで次回は偽デモクリトスと錬金術の話をしようかなというふうに思います |
1447.0 | 偽デモクリトスと錬金術の話をしようかなというふうに思います |
1451.0 | 偽デモクリトスの話忘れてたわ |
1453.0 | 偽者がいたんですね |
1455.0 | そうですね |
1456.0 | その辺の錬金術っていうものがなんでこんなに複雑で分かりづらくなってしまっているのかっていうのがこの辺に根っこがあるんですが |
1464.0 | そんな話を次回できたらなというふうに思います |
1467.0 | 楽しみにしてます |
1469.0 | というわけで今回も終わりましょうか |
1471.0 | はい |
1472.0 | お疲れさまでした |
1474.0 | お疲れさまでしたありがとうございました |
1476.0 | ありがとうございました |